Story
あたらしい会社の
あり方をつくりたい
会社員であることは、安心感や安定感を与えてくれる。その代わり自分がやりたいことだけをやるのは難しいし、こなさなければならない作業も多い。自分自身、イベントプロモーションを企画制作する会社で働いていたときは、担当する仕事をまわすことで手一杯で、仕事を楽しむ余裕はなかったように思う。本来ならば、楽しさこそが仕事の質をレベルアップさせるものだと思うし、それを見失うことは本末転倒だ。だからこそ、仕事をおもしろがる気持ちの余裕が持てる働き方がしたかった。しかし、会社や社会が変わるのを待っていたら時間がかかってしまう。ならばまず自分が変わろうという気持ちで、2014年に株式会社Compass+を立ち上げた。
会社のサービスを
決めすぎない。
Compass+の仕事は「誰かの思いを形にする」こと。
抽象的ではあるが、だからこそ色々な場所で応用がきく仕事だと思っている。
そう思うようになったきっかけは、自分の結婚式だ。結婚式といえば、会場とセットでテンプレート化されたサービスが多かったが、一度きりのことだから、もっと自分たちのひととなりを伝えられるようなものにしたいと思っていた。そこで広告的アプローチで結婚式を考え直してみた。すると「新郎新婦の思い」を起点とした作り方に発想が変わり、通常は会場とパッケージになっている招待状や会場装飾、料理、出し物など、ひとつひとつが主役のふたりを物語るツールとなって、結婚式により深い意味をもたらしてくれた。この経験は、自分の仕事がもっと幅広い分野で活かせるのではないかと感じさせてくれたし、「思いを形にする」ことにはこだわり続けながらも、活動領域を限定せずにやっていこうと決めるきっかけにもなった。
これからは“経験値のミックス”みたいなものが世の中をおもしろくするんじゃないかと思う。別の業界のモノやサービスがくっつくことで新しい価値を生み出す、そんな仕事の仕方が増えて行くのではないだろうか。そんな時、身軽にあちこちを動き回り、新しいつながりをどんどん作って行く存在が必要になるだろう。Compass+はそんな存在になりたいと考えている。
公私混同が
視野を広げる。
Compass+の立ち上げには、結婚式や子どもの誕生など、私的なことの影響が大きい。特に、このまま何も変えられなければ子どもの成長を見逃すかもしれないという思いは、最初の一歩を踏み出す勇気をくれた。そこで掲げたのが「究極の公私混同」だ。妻とふたり、思い切って自宅で仕事をする生活にシフトし、仕事と家庭に大きく線引きせず、必要な時に動ける方が動くというやり方をした。この公と私がマーブル状になった生活スタイルは自分たちに合っていて、子どもとの時間が増えただけではなく、時間にも気持ちにも余裕が生まれた。
日本の仕事シーンにおいて「公私混同」は後ろ向きな言葉だったように思う。しかし、結果として公私混同生活は自分の目をより社会に向けさせてくれたし、仕事にも大きな影響を与えることとなった。特に、今後は色々な経験値をミックスさせることで新たな商品やサービス・コミュニケーションが生まれるんじゃないかと考える自分たちには、公私混同こそアイディアの源みたいなものだと考えている。例えば、子育て当事者の視点で社会について考えることは、長時間オフィスにいた生活では得られなかった経験だし、子どもを通して今まで無関係だった地域社会と関わる機会も増えた。行政や街づくりにも関心を持つようになったことで、色々な地域グループやワークショップとの関わりも生んでくれた。こんな風に、公と私を混ぜることで得られる視点や経験が、今後色々なところで新しい発想を生んでいくんじゃないのかなと思っている。
Compass+ Inc. を立ち上げて6年。家族、社員、取引先、そしてお客さまなど、かかわる人たちみんなの幸せを考えつつ、自分が楽しいと思う仕事をひたすらに追求することをモットーにやってきた。自ら動けば、生活を楽しむための時間も、新しい人やものと出会う時間も作り出せる。そこから得た経験を仕事にフィードバックするような、良い循環が起こせる会社でありたいと思っている。